きみはお歳暮
「じゃ、先生のお題は『犬』と『着物』と『世界滅亡』ね」
と彼女は、そう僕に告げた。
実に晴れやかに。そして窓の外で過剰に降り注ぐ、夏の日差しのように。
「意義あり」
「却下」
にべもない。その薄情さは部屋に流れるクーラーよりもはるかに冷たい。
「いい? これは文芸部の活動課題などではなくて、出版社から作家への依頼よ。月刊誌の持ち回りお題短編。あたしはビジネスのお話をしているの。先生」
ドヤ顔で頬にかかった長い黒髪をはらう。もっともらしく言ってはいるが、間違いなく彼女の趣味だ。
特に2番目。色濃く出ているあの人の趣味。エロ本を参考書で隠してレジに持って行く男子高校生か、っつうの。
かつての文芸部先輩。
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カテゴリー: お題
投稿日時: 2022/8/31 13:44
鼻ぺちゃ
物語と鼻のぺちゃい動物をこよなく愛しております。読んでくれたら嬉しいです。