きみはお歳暮

きみはお歳暮
「じゃ、先生のお題は『犬』と『着物』と『世界滅亡』ね」  と彼女は、そう僕に告げた。  実に晴れやかに。そして窓の外で過剰に降り注ぐ、夏の日差しのように。 「意義あり」 「却下」  にべもない。その薄情さは部屋に流れるクーラーよりもはるかに冷たい。 「いい? これは文芸部の活動課題などではなくて、出版社から作家への依頼よ。月刊誌の持ち回りお題短編。あたしはビジネスのお話をしているの。先生」  ドヤ顔で頬にかかった長い黒髪をはらう。もっともらしく言ってはいるが、間違いなく彼女の趣味だ。  特に2番目。色濃く出ているあの人の趣味。エロ本を参考書で隠してレジに持って行く男子高校生か、っつうの。  かつての文芸部先輩。
鼻ぺちゃ
鼻ぺちゃ
物語と鼻のぺちゃい動物をこよなく愛しております。読んでくれたら嬉しいです。