書簡集一
―令和十六年書簡 三月八日〜
一
英国・倫敦《ロンドン》 W1U 3PP マンチェスター・スクエアN番地
エヴァン・ヘレッセン
拜啓
紋白蝶が花に留まっていた。先月に、グラヴィナ大公から王室で使われるような高級茶葉が送られてきたので、君にも分けてやろうと思う。そう思いつつも紅茶を淹れる気力もなく、まだ冷えるから炬燵に引き篭もっている。近日、大学で解剖の授業があった。学生達は吐いたり、どこかに行ってしまったので最後に残ったのは私だけだった。多少は気持ちが悪いだろうが、患者の腹を裂いてでも助けようとする心意気は持つべきだと思う。あと、ディアーノと偶然会って家に行かせてもらった。その際に経済学の書があって興味をそそられたので手にして、一通り読んでみた。あれは面白い。物理学もそうだが、豪傑で大雑把な彼に理解出来るとは到底思えない。表面で動物を判断することは最も愚かなのだと再確認させられた。それにしても、ロンドンは冬頃に雨が多かったが、やっと春を感じられるようになった。付近には水仙の蕾がある。暖かいし、ケンブリッジにも行ってみようかと思っても忙しい。近年、少子化の対策として医師免許を早期に取得出来るとの話だった。私はその対象で、言葉の通り医師免許を取得して医者となる。また、オックスフォードの方へ向かって研究を進めるので寄り道感覚で家に向かうかもしれないので承知願いたい。君の顔が一日でも早く見られることを願っている。
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英国・剣橋CB2 1JE ブルックサイドX番地
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文字数: 3185
カテゴリー: その他
投稿日時: 2026/5/10 4:59
最終編集日時: 2026/5/23 16:19
愛染明王
科学部の逸材