水と私

水面の膜が張り付いた手のひらを、何度も水槽に落としてはまた引っ張った。体積が増えた水は自分の一部のように感じられた。不思議な感触だ、心地よさがあるのは、ここが居場所だからかな。足を伸ばした途端、丸まった背中を余計に意識してしまって大きな背伸びをした。天井に向けられた手のひらはカサついていて、時間の経過を感じた。明日のことを考えながら、重い腰を上げて、一息吐いてみた。感情のなさに、真実があるように思ってみた。