コーヒーに酔う

コーヒーに酔う
 俺はコーヒーが苦手だ。特に酸味のある、あの後味が好きではない。それなのに、彼女がコーヒーが好きだという理由だけで、毎朝コーヒーを嗜んでいる。 「俺、転勤になったよ」  君が微笑む写真に向かって、溜め息を吐いてみる。君の家から近いこの場所から離れたくはなかったのに。 「大体、中間管理職なんて板挟みになるだけなんだ。ずっと平社員でもよかったのに」  平社員のまま、生活できるだけの給料がもらえるならそれでいい。それなのに。上司は俺のきっちりとした仕事ぶりを見逃さなかったらしい。 「さ、引越し準備でもしなくちゃな。どこに住んだらいいと思う?」  会社から近すぎれば仕事と生活が地続きになってしまうし、逆に遠すぎれば通勤が億劫になってしまう。丁度いい塩梅の場所を探さなくては。 「ま、君に聞いても無理があるか」  彼女がこの場にいれば、愛くるしく苦笑いでもしていたのだろう。いや、恐怖に震えていたかもしれない。  まあ、そんな時は巡ってこなさそうだ。もう一口コーヒーを含み、彼女が苦痛に喘ぐ表情を想像してみる。
七宮叶歌
七宮叶歌
来年の公募応募に向けてカクヨムで執筆中。『一春の風』公開中です。 前回公募に応募した作品はカクヨムで読めます。『想刻師のいる辺境で』で検索♪ 恋愛ファンタジーな連載と、ファンタジー、時々現代なSSを載せています。エッセイも始めました。 フォロー、♡、感想頂けると凄く嬉しいです♩ 他サイトでは、小説家になろう、カクヨム、NOVEL DAYSで投稿しています。 NSS、NSSプチコン優勝者、合作企画関係の方のみフォローしています*ᵕᵕ お題配布につきましては、連載している『お題配布』の頁をご確認下さい。 小説の著作権は放棄しておりません。二次創作は歓迎ですが、掲載前に一言でも良いのでコメント下さい。 2025.1.23 start Xなどはこちらから↓ https://lit.link/nanamiyanohako お題でショートストーリーを競い合う『NSSコンテスト』第5回は2026.9.1開催予定です。 優勝者  第1回 ot 様  第2回 ot 様  第3回 除草機1号様  第4回 黒鼠シラ様 NSSプチコンテスト 優勝者  第1回 黒鼠シラ 様