コーヒーに酔う
俺はコーヒーが苦手だ。特に酸味のある、あの後味が好きではない。それなのに、彼女がコーヒーが好きだという理由だけで、毎朝コーヒーを嗜んでいる。
「俺、転勤になったよ」
君が微笑む写真に向かって、溜め息を吐いてみる。君の家から近いこの場所から離れたくはなかったのに。
「大体、中間管理職なんて板挟みになるだけなんだ。ずっと平社員でもよかったのに」
平社員のまま、生活できるだけの給料がもらえるならそれでいい。それなのに。上司は俺のきっちりとした仕事ぶりを見逃さなかったらしい。
「さ、引越し準備でもしなくちゃな。どこに住んだらいいと思う?」
会社から近すぎれば仕事と生活が地続きになってしまうし、逆に遠すぎれば通勤が億劫になってしまう。丁度いい塩梅の場所を探さなくては。
「ま、君に聞いても無理があるか」
彼女がこの場にいれば、愛くるしく苦笑いでもしていたのだろう。いや、恐怖に震えていたかもしれない。
まあ、そんな時は巡ってこなさそうだ。もう一口コーヒーを含み、彼女が苦痛に喘ぐ表情を想像してみる。
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文字数: 492
カテゴリー: その他
投稿日時: 2026/4/15 11:49
最終編集日時: 2026/4/28 9:49
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
七宮叶歌
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