140文字の世界③

月が、綺麗だった。まあるく輝く月が。綺麗だった。だから行けるんじゃないかと思った。なのに可笑しい。私は行けなかった。 何故かと言われたら、だ。 「ねぇ、」 声を掛けた。 「…何だ」 不細工?不格好?な声が反芻して溶けた。 「月に行こうよ」 「愚問だな。」 鼻で笑われたからだった。
井上雛
井上雛
暖かくて儚い、そんな話を紡ぎたい。 閲覧してくれてありがとうございます。 『貴方』に届きますように。 開始 7月13日 2022年。 もう一度会えるのならば。連載中。