メトロノーム③

メトロノーム③
 灯は、スタスタとドアに向かって歩いていく。多分家族の誰かだから大丈夫だと思い、震える脚を前へ前へと進めていく。  ドアノブに手を掛けた。ガチャっという音とともに、ドアが開く。  しかし、灯の視線の高さには誰もいなかった。もしかして、と灯は視線を下にずらす。 …そこには、僅か10歳の小さな少年が立っていた。彼は、弟の明石 光(ひかる)だ。  「…光。どうしたの?急に。」  「あー…、その…、姉ちゃんにプレゼントを…って思ってぇ…。」  光は普段はハキハキ話すタイプなのに、緊張して完全に固まっている。とてもレアだ。  ただし、今の私にはそんな希少な様子よりも光の「プレゼント」が気になっていた。誕生日でもないのに、何だろう。  「プレゼント…?私に?何を…?」  「ああ、えっと…。」
白羽 唯
白羽 唯
ファンタジー小説を主に制作する、小説作家志望です。 まだまだ文章が下手&Novelee初心者なので、温かい目で見てもらえると嬉しいです! 誠に申し訳ないのですが、都合により不定期投稿になります。すみません。