文字

夜の一時を回っても、部屋の空気はまだ起きていた。 眠っていないのは彼女だけではなく、机の上のノートも、開きかけの投稿画面も、閉じられない思考も同じだった。 書きたい、と思う。 同時に、見たくない、とも思う。 文字を見るだけで、胸の奥がざわつく日がある。ページの白さが圧力になる日がある。かつてはあれほど救いだったものが、今日は情報の洪水に見える。物語も、評論も、誰かの成功も、全部が一度に目に入ってきて、呼吸が浅くなる。 それでも彼女は、指だけは止めない。 スクロールする。閉じる。開く。メモを書く。消す。保存しない。
ココロナシ
ココロナシ
19歳です。純文学志望。 よろしくお願いします。 あたたかなコメント励みになっております。ありがとうございます!