1話

ープラマイー  五歳か六歳ぐらいの頃、俺は蜂の群れに飛び込んだ。  昔の記憶だからか、ハッキリとは思い出せないが確か棒切れで蜂の巣を叩いたのが原因だろう。その場からすぐ離れると蜂の巣から黒い小さな点が一つ出てきた。よく見ると蜂の巣は凹みができていて、そこからウジャウジャと黒い点が湧き出てきた。それが蜂だと気づくやいなや、俺は駆け出していた。脳内では特撮の戦闘bgmが流れ、憧れのヒーローと姿が重なる。まぁヒーローというよりは悪役側なんだが、そんなことは当時の俺は考えていなかった。迫り来る黒い群れに棒切れを振り下ろす。その時は只々、蜂を倒すことしか考えいなかった。  古い記憶の映像を止め、目を閉じて、開く。目の前にはノートパソコンがあり、「オオスズメバチ完全根絶」という大きな見出しが映し出されている。ウェブニュースを見ていたらこの記事が目に留まり、昔の記憶を思い出したのだ。 「プラス、おいプラス!ぼーっとしてねぇでさっさとやれ」  マイナスの声にやるべき事を思い出す。ノートパソコンをいじる。画面が次々と切り替わりお目当てのファイルを見つけ出す。人身売買専門団体、通称バラバイのメンバー情報だ。このパソコンの持ち主もそのバラバイの一員であり、リーダーだ。この男の家に乗り込み、メンバー情報の回収が俺達の仕事だ。USBメモリを差し込み、データを抜く。マイナスの方を見ると戦闘中のようだった。 「な、なんなんだよお前ら。人の家に勝手に入ってきて」 「入る時にお邪魔しますって言っただろ」 「誰も許可してねーよ。てか、俺になんのようだよ。俺が何したってんだよ」
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