「少年の日の思い出」の続きを考えてみた

「エーミールはいますか」  僕はあの、隣の家に来た。ヤママユガをなけなしの小遣いで手に入れた木箱に入れて、慎重に運んだ。  彼はあの後、僕の罪を言いふらしさえしなかった。ただただ、軽蔑した目線を送ってきた。僕を許すつもりなんて、少しもないだろう。  あの日、僕が彼の宝物を盗み壊した瞬間、僕は彼への罪悪感よりも、ヤママユガを壊したという絶望感を感じていた。  だがその後、自分の収集を潰した時、こう思った。自分の宝物が台無しになってしまうのは、こんなにも苦痛なことなのだろうかと思った。  僕が自分の収集を潰した理由は、勢いだったと言えなくもなかった。もしくは、重罪人の自分と、欠点を指摘された恥ずかしい標本が、どうにも重なって見えたからかもしれない。それか、エーミールと同じ気持ちを少しでも味わおうとしたのかもしれない。  いずれにせよ、どうしても潰したくなったのだ。  僕は彼に言う言葉を決めた。  なんと言われようとかまわない。ただの自己満足と思われるかもしれない。  僕はこの、ヤママユガの標本を抱えて、三階に上がった。
山川 滝海
山川 滝海
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