鏡
これは、俺の身に起きた不思議な出来事だ。自分で言うのもなんだが、俺は学年でもかなり上位の美男子だ・・・美男子って言い方はやめよう。かなり顔立ちが整っている方だ。周りからも、「イケメンだね」とか、「モテるでしょ」とか、結構言われる。彼女もいたことある。2人。まぁ、性格が合わなかったりしたからあんまり長続きしなかったけど。でも友達も結構いるし、それなりに充実した毎日を送ってはいた。
そんなある日のこと。いつも通り放課後友達と喋ってから、帰路に着いた。家に帰り着いたのは、確か午後6時過ぎぐらいだった。家に入ると、「お帰り。ご飯作ってるから先にお風呂入りなー」と母さんに言われ、俺は脱衣所に向かった。その日は風呂場の電球が切れていて、風呂場の中は薄暗い状態だった。
服を脱いで、風呂場で髪を洗っていたときだ。シャンプーを洗い流してからシャワーを止め、ふと目の前にある鏡を見ると
そこには知らない男の顔が映っていた。
いや違う。これは俺の顔だ。すぐにそう思い直す。しかし、どういうわけか鏡の中の自分の顔に違和感を感じた。なんというか、いつもの自分じゃないと言うか・・・普通の顔なのだ。本来そこにあるはずの顔より、鼻筋も通っておらず、目もぱっちりしていない・・・いわゆる、どこにでもいるような顔だった。そしてその顔が、暗闇の中からじっとこちらを覗いている。俺は怖くなって、すぐに風呂場からあがり、ご飯も食べずにそのまま布団に入った。なかなか眠れなかった。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2022/9/4 10:20
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
こころ虎