ペット療法

ペット療法
  「ペット療法か。知ってるよ、この施設でもやってるのかい?」 「はい。もし良ければ、山田さんのケアプランにも組み込ませてもらおうかと思って」 「う〜ん、そんなに動物は好きでもないんだがなあ」 「あ、大丈夫です。そういうのは関係ないんで。どうです? 試しに一度」  と、介護士の島岡さんに連れられ、一階の交流エリアに行くと、一台の踏台が置いてあった。 「どうぞ、この踏台がペットです」 「意味がわからん」 「アナムネの時仰ってましたね。お人好しのため、昔から他人の踏台になってきた。でも、そのお陰で成長もしたと」 「もしかして、それなら踏台その物も成長するとでも……?」
くろせさんきち
くろせさんきち
短い物語を書いてます。 400字小説サイト「ショート・ショート・ガーデン」https://short-short.garden/author/808809 ショート・ストーリー集『造園』https://kakuyomu.jp/works/16816452219823406519