時と、カマキリのように。

「もう長くは無い。」 病室で聞いた祖父の言葉は耳を思い切り貫いた。おちゃらけていた祖父の口から出てきたその言葉は、いつものようにふざけた口調ではなかった。 「……じいちゃん。」 俺はじいちゃんの他に信頼できる家族がいない。というより、じいちゃん以外の家族は既にこの世にいない。 「……そんな深刻な顔するでない。」 微笑みながらじいちゃんは言った。 「じいちゃん!!」 そのままじいちゃんはゆっくり目を閉じ、呼吸が浅く…… 「スー……スー……」 なってなかった。
山田ヤマダ
みんな愛してる