本の少女#4

本の少女#4
「な、なんでもない…」 と雪菜は震える声で抗議するものの、その人物は聞こえてないふりをした。後ろにいた兵士たちをチラリと見て「すまん、戻ってくれ」と雪菜の方を見ながら言った。そして、雪菜と目線が合うように屈むと、 「なぁ、雪菜。また、被害者を出すのか。」 と言った。私たちはその人物の言ったことの理解が追いつかず、反応ができなかった。 “また、“とは? 「違う、違うの…私はただ…」 「パーティーを抜け出してまで、そんなことをする必要が?」 「でもっ…」 「関係ないだろ。今まで沢山の童話を読ませてきた。お前は魔女になるのか?」 一瞬、雪菜が憤慨した顔をしたのを、私たちは見逃さなかった。だが雪菜は“ごめんなさい。父さん“と感情のこもってない声で言う。“その人物“とはどうやら“雪菜の父“らしい。彼女なりの強がりの仕方なのだろう。
T.I
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はじめまして。T.lです。