そと

窓の外には、六月の夕方が広がっていた。 病室の窓は大きくて、空だけはよく見えた。 僕はぼんやりと外を眺めていた。 遠くに電車が走っている。 その向こうには住宅街があって、たぶん今ごろ誰かが夕飯の支度をしている。 カレーの匂いとか、味噌汁の匂いとか。 そういう匂いはここまで届かない。 僕は想像するしかなかった。 死んだらどこへ行くんだろう。 最近はそればかり考えている。
叶夢 衣緒。/海月様の猫
叶夢 衣緒。/海月様の猫
綺麗事が救いにならない夜の話。 正しさに置いていかれた感情と、 救われなかった青春の残骸。 優しい言葉ほど、いちばん痛い。 2023年 2月27日start 3月3日初投稿