フレイル=サモン〈CⅩⅩⅩⅩⅦ〉
サウラ国領土〈ジェノバ中央都市・特待兵寮塔「自室」〉
上下の瞼によって出来た隙間を、外から射す自然光が強引にこじ開けてくる。本音を言うともう少し寝ていたいものだが、それが許されないことぐらいは当然理解していた。
「ふあぁっ……」
気怠さの残る体をなんとか起こし、二度寝に誘惑する掛け布団を苦労して跳ね除ける。小窓のカーテンは閉まっているというのに、太陽光線はそれを無視してこれ見よがしに煌めいていた。
(俺を起こした自然光の正体はこれか)
眠気覚ましのために思い切り伸びをし、温もりを残すベッドからそっと降りる。常温だったはずの床はまんまと朝の冷気に晒され、素足には堪えるほどひんやりと感じさせた。
「すぅ…すぅ…」
寝相でしわくちゃになったシーツの上で、シノが幸せそうに寝息を立てる。
ラノスは……と視線を動かした直後、掛け布団の一部が不自然に膨らんでいるのに気付いた。中の生命が息を吐く度、重たい毛布がゆっくり微動する。彼のいる場所はそこだ。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/3/12 8:22
クリオネ
※注釈※
時折り過去話に手を加える事があります
(大きく変えた場合は報告します)
定期的なご確認をお願いします。
novelee様の不具合か、
長い文章の一部が
途切れている場合があります。