フレイル=サモン〈CⅩⅩⅩⅩⅦ〉

フレイル=サモン〈CⅩⅩⅩⅩⅦ〉
サウラ国領土〈ジェノバ中央都市・特待兵寮塔「自室」〉  上下の瞼によって出来た隙間を、外から射す自然光が強引にこじ開けてくる。本音を言うともう少し寝ていたいものだが、それが許されないことぐらいは当然理解していた。 「ふあぁっ……」  気怠さの残る体をなんとか起こし、二度寝に誘惑する掛け布団を苦労して跳ね除ける。小窓のカーテンは閉まっているというのに、太陽光線はそれを無視してこれ見よがしに煌めいていた。 (俺を起こした自然光の正体はこれか)  眠気覚ましのために思い切り伸びをし、温もりを残すベッドからそっと降りる。常温だったはずの床はまんまと朝の冷気に晒され、素足には堪えるほどひんやりと感じさせた。 「すぅ…すぅ…」  寝相でしわくちゃになったシーツの上で、シノが幸せそうに寝息を立てる。 ラノスは……と視線を動かした直後、掛け布団の一部が不自然に膨らんでいるのに気付いた。中の生命が息を吐く度、重たい毛布がゆっくり微動する。彼のいる場所はそこだ。
クリオネ
クリオネ
※注釈※ 時折り過去話に手を加える事があります (大きく変えた場合は報告します) 定期的なご確認をお願いします。 novelee様の不具合か、 長い文章の一部が 途切れている場合があります。