心霊スポットに行かない理由

俺は中学生の時に柔道部に入っていた。 忘れもしない。二年生の肌寒い秋に黒帯を取るための昇段試験へ向かい、その帰りに時間が余ったので先輩や他校の友人達と近くの公園で野球をする事になった。負けたチームの罰ゲームを考えた際に、今いる公園から自転車で10分程の場所に有名なホラースポットのレンガ作りの元ホテルに入ると言うものだった。 結果は自分のいたチームが負けた。 ホテルへ向かい嫌々ながらも先頭に立ち建物に入る。窓やドアは無く枯れ葉が建物内に入っていた。 入って直ぐは何も無かったが、2階に続く手すりに手を掛けた瞬間、強風が吹きガサガサと大きな音を立てて枯れ葉が舞った。すると後ろに居た友人達がダッシュで入口へ走り出したので自分も入口へ向かい走った。日が沈みかけていたので帰る事になり自転車を走らせていると。少し前を走っていた1人が歩道の段差に乗り上げ転び、バスに轢かれかけた。もう1人がホラースポットの呪いだと言い始め怯えた為、1番家が近かった先輩の親に送って貰い、残りは自転車で帰った。そして半月が経った頃に、肝試しをしたメンバーの1人が肺炎になり入院した。更に1ヶ月後 もう1人が練習試合で足を折り。もう1人も練習中に壁から出ていた釘が背中に刺さり。そろそろ俺かと内心怯えていた。 ある日更衣室に財布を忘れて取りに戻る際、道場の手前にある坂を下っていると、いつもは見えるロープが見えず、驚いた俺は減速せずにロープを左手で咄嗟に掴んでしまった。その摩擦で左掌と指を火傷してしまった。その後は特に何も無く日常に戻った こうやって自分の持ちネタとして何度も話すうちに ある事に気づいた。実はそのホテルは火事で廃業になっており、死人も出ていたそうで、手を火傷したのは、肝試しで手すりを握ってしまったからではないのかと思ってしまった。
久山 八海
仕事しながらぼちぼち書きます。