鳴らした音の行く先は 6-5
第六章五話 引き裂かれた想い
たどり着いたのは、小さな個室だった。それこそ、施設職員と二人で会話をするときに使う部屋。
「あのな、本当は俺から言うべきじゃないことなんだ」
その一言にどうしても最悪な事態を想像してしまう。
「施設長は、もうこの施設には来ない。入院が決まってから、辞めたんだ。颯に聞かれたときは、貧血だって答えたけどな、きっと本当はもっと重い病気だったんだと思う」
息ができなくなる。だって、あんなにそばにいたのに全く気づけなかった。
「でも…」
必死に声を絞り出す。
「病院の受付の人に聞いたら、退院したって……だから、もう大丈夫なんだよね…」
0
閲覧数: 7
文字数: 565
カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/6/19 12:33
傘と長靴
自分の書いた物語を誰かと共有したいと思い始めました。
拙い文章ですが、目に留めていただけると、幸いです。