葉緑体人間。

僕は死ぬことがない葉緑体人間だ。 体に入れた葉緑体は光合成を行い生きるために必要なエネルギーと日々細胞を新たに生み出し続けている。技術は知らぬ間に発展していき私が生まれた年から早くも60年が経つ。まぁ私は20代の見た目を保ち言葉だけが古臭くなっていくのだが。 私はある時考えた。おそらくこのまま一生死なないで世界が終わるその日まで、地球と共にあるのだろう。なんてつまらない人生なんだ。と。 そんなことを思いながら街を歩く。 「やぁグリーンさん元気かい?」 私は彼らの間で人気者である。なんでも私のこの緑色の肌は珍しいらしい。腕を上げて挨拶をする。 家に帰り首にネクタイをまわす。 私は植物が知性を持たない理由を知った。 きっと彼らに知恵の実を食べさせるのはよっぽど酷であるのだと神様は思ったのだろう。
てまきまき
はじめまして