プロローグ:
元々は君が言い出したことだった。どこか遠くへ逃げたいと、現実から逃げたいと言ってくれたのは君だった。
要を必要としたのは、僕だった。
今でも要が好きだ。心の中に、君はいる。そして僕は今君を手放した。
僕らの恋はきっと、美しくて繊細で、ひどく背徳的なものだったのだ。その繊細な美しさを愛でている内に、僕は要が必要なんじゃなくて、恋をしている自分が好きで、大切なのだろうと思った。
誰の手も届かないように、要を囲った。背徳感を食い散らかす為に、要を連れて行った。僕と違って恵まれて愛されていた、帰る場所があった要を、道連れにした。
もう終わってしまったであろう恋に、ただ僕が望むのなら。
“君の心に、僕はいませんように“
僕は君に愛されたかったのではなく、君を愛したかっただけなのだ。ひどく独善的な愛に溺れて絡まれながら、僕は雪国に行く為に車を発進させた。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2023/3/29 23:01
雪月真冬
雪月真冬と申します。実を言いますと昔pixivによくお邪魔させていただいていた者です。年齢不詳でお願いします。男子です。フォローしてくれたら嬉しいです。是非フォローしてください!
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