5話

5話
「おはようございます」  挨拶しながら自分の席に着く。まばらに返事が返ってくる。  朝の八時。まだ事務所の電気はついていない。明かりはみんなが開いているパソコンの画面だけ。  いつもみたいに本を開く気にもなれず、パソコンを開きメールをチェックする。野中さんからメールが一件。東受付の周りで工事が始まったらしい。  スクロールすることもなくメールチェックが終わった。  何かをするわけでもなくぼうっとパソコンを見つめる。今日は何をするんだろう。  当面はパソコンを使った改善か現場聞き取りが私の仕事だと聞いている。パソコンはともかく、現場聞き取りは上手くいく気がしない。  今まで最低限の会話しかしてこなかった。おはようございますとお疲れさまでした。そして仕事上のやり取り。それ以外のことを会社で話したことがない。
飛鳥
飛鳥
気づいたら百合小説書いてる人