あの頃の赤

あの頃の赤
とにかく苦しかった。何がとも言えないが見えない物に押しつぶされるような感覚。息苦しくて、暑くて。本当に苦しかった。 言いようも無い気持ちに嫌気がさして、消えたくなった。誰にもバレないように消えることが出来るのなら、なんて素敵だろうとずっと思っていた。 I字のカミソリは当時の私には怖かった。消えたいのに死んでしまう気がした。T字のカミソリを手首に押し当て血が流れる生活を毎日続けていた。 「あ!またやってんじゃん!!」 同じクラスのルカがそう言った。 ルカの手首にも私と同様傷がある。 「ごめん。てかルカも一緒じゃん。」 そう言って手首を見せあって笑った。 2人は共依存という関係に近かった。
かつらな
かつらな
現役女子高生、17歳。 かすかな痛みと夢の残り香を言葉に変えて、生きている証を綴る。