鳴らした音の行く先は 5-4

鳴らした音の行く先は 5-4
第五章四話 抜け出したくて  ホテルのラウンジでお父さんと向き合っている。  今日は出張で近くまで来ていたから、話すならそこだと言われた。 「今日はお時間を取っていただき、ありがとうございます」  コーヒーをすすって、こちらを見てくる。 「私の本当のお母さんについて教えてください」  私がそう言うと、お父さんは怪訝そうな顔をした。 「それを聞いてどうするのかね。知ったところで得るものはないだろうに」  釘を刺される。聞くなということだろう。でも、そんなわけにもいかない。
傘と長靴
傘と長靴
 自分の書いた物語を誰かと共有したいと思い始めました。  拙い文章ですが、目に留めていただけると、幸いです。