初雪の桜

初雪の桜
 空に知られぬ雪。  そう思って顔を上げる。  この言葉を聞いたのはいつだったか。  新学期の午後の授業。機嫌の悪そうな国語教師の声を聞き流し、窓の外に目をやった。  窓の外の校庭では、満開の桜が風に吹かれ、美しく吹雪いていた。  散っていく花片は雪のように白い。  教室の中を静かに流れる風は、散っていく桜に惜春の想いを漂わせていた。  その窓の横で眠る彼女の横顔。
まめ菓子
まめ菓子
短編を書きます。