いつか自分の声で

 僕は外で声が出せない。家ではあんなに家族と楽しくおしゃべりできるのに。  今日はクラス替えをしてから初めての学校。教室に入り、自分の席を探す。窓際だ。よかった。両隣に人がいるよりずっと気楽で、教室の中で一番好きな席だ。  席に座って一息ついたところで不意に声をかけられる。 「はじめまして。なぁ、名前なんていうの?」 あぁ、まただ。わかっていたことだ。わかっていたことだが、それでもこの時間が一番嫌い。声をかけられると、自分の喉は石になってしまったと勘違いするくらい重く、固くなる。心の中ではその声に答えたくて叫んでいるのに。 緊張と申し訳なさで目が合わせられない。声も、出ない。 「なんだよ。無視かよ。」 ベーっと舌を出して威嚇してから去っていく。 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。 また嫌われてしまった。ほんとは、みんなと仲良くしたいのに。いつも同じところで立ち止まってしまう。
でぃぐだぁ
でぃぐだぁ
気が向いた時にのんびりとやっていきます