見せ物小屋の天使
「レナト、これがオマエの担当になる見せ物だ。」
薄暗い地下牢、その檻の中にいたのは、片羽の天使だった。僕の背に立つ巨漢が汚い笑みを浮かべて言った。僕は小さく頷いた。僕がこの見せ物小屋で働くことになったのは、三年くらい前。奴隷商から旦那様が僕を買い取った日からだ。奴隷として買われたせいか、僕はまともな仕事をもらえなかった。ずっと雑用をし続けて来た。賃金もパン一つ分くらいのもので、それだって支払われない日のほうが多かった。そんな僕が、ようやく見せ物小屋の店員らしい仕事をもらったのだ。
「レナト、ここにいるのは片羽とはいえ歴とした天使だ。貴重で、非常に価値のある見せ物。体調が改善して着飾れるようになれば、いずれはウチの目玉になる。未来の稼ぎ頭なんだ。」
巨漢は、僕の耳元で淡々と告げた。重大な仕事だとは思っていた。だって数も少なく貴重な力と凄まじい美貌を誇る伝説の種族だ。けれど、巨漢の言葉はその認識を実感へと変えた。
「つまり何が言いたいかってぇと……分かるな?」
失敗は許されない。万が一にも逃げられるなどあってはならない、ということだろう。巨漢は不敵な笑みを浮かべ、肩をポンと叩くと地下牢を後にした。
改めて天使に視線を落とした。その瞳は光の差し方によって菫色から青空のような色まで変化する。絹のように真っ白なカーリーヘアは、汚れて燻んでしまってもなお、その透明感と美しさを残していた。骨と皮だけの体は白く、頰はこけていたが、何故か見せ物となった人々特有の廃人のような雰囲気は感じられなかった。片方しかない翼は右側に生えていて大きく、やはり汚れていたが美しい。
「ねえ、君、名前は?」
「……。」
「ハハ、そうだよね。いきなり連れて来られて警戒するなは無理な話だよね。…僕はレナト。これから君のお世話をする人間だ。」
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2026/9/10 7:32
最終編集日時: 2026/9/10 7:47
あいびぃ
初めまして、あいびぃです!
見つけてくれてありがとう♪
私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。
詳しいことは「自己紹介」にて!
まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします!