トリック・オア・トリート

トリック・オア・トリート
「今すぐあれを出せ。さもないとお前を……」  俺に向けられているのは、俺の人生の幕を降ろしかねない絶体絶命のあれだ。  夕食を買いにコンビニに行った帰り、コンビニの角を曲がって細い抜け道を通ろうとしたところで俺は後ろから声かけられた。  振り返ると黒ずくめのそいつの手には月明かりに照らされる金属の塊。向けられた者は誰しも両手を上げ無抵抗になるだろう。もちろん俺もその一人だ。 「えっと……今なんて……?」 「だから、今すぐあれを出せよ。さもないと……」  奴はそう言って手の中のものをちらつかせ笑った。  それが本物かどうか、奴が本気かどうか俺には判断できない。それを確認するにはやられてみる他なさそうだ。まぁ、人生を終える覚悟があればの話だが。 「あの……一つお伺いしてもいいですか?」
あまもよい
あまもよい
 真夜中の通知ごめんなさい。