「第6回N1」 水面に映るすべて
私が彼、柚月と出会ってからしばらくの間、
私は彼のことを女の子だと思っていたし、柚月は柚月で私のことを男の子だと思っていたらしい。
当時、私は異常に女々しかったから、かなりショックを受けた。
美容室に駆け込んで、泣きながら美容師さんに「女の子らしくして」って頼み込んだことを、今でも覚えている。
だから、あれからずっと髪を伸ばし続けてきた。
ずっと大切にしてきた。
そうしないと柚月に好かれないような気がしてたから。
そんな私の黒髪が、少しずつ切れてはらはらと、公衆トイレの洋式便所に沈んでいく。
私の五年が水の泡になる。
思い返せば、自力で髪を切るのは初めてかもしれない。
0
閲覧数: 112
文字数: 4838
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/4/13 15:55
有陽 へいか
こんにちは
有陽(ありひ)と読みます
高ニです
絵が好きです