君と過ごした一年間

「やめろ…やめてくれ…、金ならやるからッ」 薄汚いビルの一室。目の前で必死に命乞いする男の首を俺は何の躊躇もなくはねた。壁一面に広がった血は俺の着ていたスーツにもかかり、辺りはたちまち錆びた鉄のような臭いでいっぱいになった。 「御苦労だ。…これほどまでに良い働きをするとは。期待以上だよ」 目の前でにやりと笑うこの男は、行き場のない俺を雇ってくれた、この殺し屋組織のボスである。すっかり夜も更(ふ)けて、ボスの後ろに見える窓には月が見えていた。 「…ありがとうございます」
こたつねこ
こたつねこ
はじめまして!気ままに小説を投稿していきたいと思います。よろしくお願いします。