旅立ち編②

「、、、、は!ぜっ、、、、きろ!」 「ごし、、、、ま!、、、、してお、、、した!」 「どうか、、、、生き、、、、」 まだ日が昇る前の宵の時間、夢の中で途切れ途切れの言葉を聞いたアベルは目を覚まし、飛び起きる。アベルの隣にはアテナが布団の中で静かに寝息を立てて小さくなっている。それを確認したアベルは今の出来事が夢だと気づき、安堵の溜息をついた。窓の外には雲がかかって薄く光る月が覗き込んでいた。まだ落ち着かない心に微かなざわめきを抱えたアベルは皆をを起こさないように静かに外に出て長年愛用している短く軽い、双剣を振るっていた。その剣は素早く、鋭い太刀筋ながらもどこか繊細で滑らかであった。 「アベル、何してるの。もうみんな起きて支度済ませたよ」 どれほど剣を振っていたかは覚えてないが月は陰っている。日はまだ出ていないがどこか明るく思える。アベルは促されるまま皆の元へ歩いて行く。心は落ち着いているが、ざわめきは未だに払拭できていない。一抹の不安を抱えて、彼らは依頼を遂行するために戦場へ向かっていった。 ・・・・・・
ホネナシちきん
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