朝日 終章
空はどんどん遠くなっていく。明るくなっていく空と同時に消えていく星々はまるで、もうすぐ死ぬ私のようだ。「夜が明けてほしくない」という誰かの叫びも気にせずに消えていく。人の優しさにすら気づけないまま死ぬ私のように。
目を思いきり見開いた。涙がでてきたのは、乾燥したせいだろうか。それとも......
私は陰に生きてきた。自分が闇に包まれていて、汚れきっていると信じてきた。けれど、私も光を持っていたのではないか。ほんの少し勇気があれば、誰かの光になれたのではないか。優奈ちゃん、川崎の様に光で誰かを支えられたのではないか。
世界が、輝きを増したように思えた。
空は、言葉では表せないほどの色を生み出していた。死ぬ為に生きている。そう思って生きていた人生だった。だが、どうだろうか。この朝日は、自然が生み出した奇跡だ。夜だけしか自分を受け入れてくれない。そう思っていた私、そんな人々に送る、無限の可能性を秘めたプレゼントだ。
何の為に生きているのか。そんなの、誰にも分からないだろう。けれど、少なくとも私は、こんな人生の最後に、こんな朝日を見ることができて幸せだと感じている。朝日を見る為に生きて、死んでいく。こんな人生でもいいのではないか。
また涙が出てきた。理由は分かっている。だが、説明していられるほど人生は長くない。今はただ、この感動を味わいたい。
私は今、世界で一番幸せだ。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/12/3 8:45
神月二千楓
学生です。黒歴史が大量発生すると思います。暖かく見守ってくれると嬉しいです。
サスペンスが書きたいのですが気力がなくて無理そうです。ペンネームは適当です。