金木犀

金木犀
空の青は変わらない。海のそれも。音も。光も。たまに雨が降ったりするけれど、二十四時間きっちり周る世界はいつも、いつも通りだ。 海の見えるアパートのベランダで朝の一服を終え、寝室に戻ると、きみが僕の枕に自分の香水を振りかけていた。 「なにしてんの」 「虫よけ」 これから少し間が空くからと、きみは淡々と言った。オードリーヘプバーンの愛したシャネルの5番である。僕はその匂いがきつくて苦手だったが、きみにとってはお気に入りの香水だそうだ。 僕はきみとの去年の秋の旅でのアルバムを振り返っていた。笑顔のきみは陸に上がった淡水魚のように苦しそうで、金木犀を背にアンニュイな表情のきみは実に華やかである。
つばめ
つばめ
活字中毒 お酒と煙草が好きな成人済。 食えねえ文章ばっか書いてます。 素敵な人だけふぉろすることにしました。おべっか使えないんで。好きなひとにベタベタくっつきます。 オタクじゃないけどオタクみたいな話し方してしまう病。あとこころの病持ち。夜になると黒くなります。気に障ったらごめんね。悪気はないからタチ悪いね。悪いようにはしないんで よろしゅうお願いしやす Novelee:: 2024.08.22-