花嵐をなぐ プロローグ
試合は、終盤を迎えていた。
全国中学校バスケットボール大会決勝。百合まほろ(ユリマホロ)は今、その華々しい舞台で戦っている。
相手は京都の強豪校、萩牡丹学園(ハギノボタンガクエン)。まほろが所属する鴇永学園(トキナガガクエン)とは何度も試合をしてきている、いわゆる好敵手というやつだ。
だが、今回の萩牡丹には少し変化があった。それは、新入部員の存在だ。三年生のシューティングガードで、背はあまり高くもなく、色白で華奢な、よくイメージするような京都の人といった印象だ。
第三クォーターから第四クォーターにかけて仕掛けていたワンツーマンディフェンスで、まほろの相手になっていたその男は、強豪のバスケ部に突然現れてスタメン入りした肩書にふさわしい実力を持っていた。小学生の時からバスケを続けてきて、運動神経にはかなりの自信があるまほろでさえ、ついていくのがやっとというほどに素早く、気がついたら距離が離されたり詰められたりしていた。
点数差はない。残り時間はあとたったの10秒。ボールは鴇永の部長である松宮(マツミヤ)が持っており既に相手コートに運んでいる。ワンツーマンディフェンスなため、実質一対一の状況だ。だが、松宮の相手はエース級の選手だ。ただディフェンスを抑えるだけでは勝てない。そう思い、隙を見てカットインを仕掛ける。それに反応して、松宮がまほろにパスを送り、見事にゴール下までボールが渡った。「勝てる」そう確信してボールを宙に放った。
そのボールはスパンッと爽快な音を立ててゴールに吸い込まれ、ガッツポーズをして喜ぶ暇もなくタイマーに目を移した。
残り2秒。
ほっと一息をつく。
萩牡丹がスローインでコートにボールを投げ入れるところで、
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/1/1 12:02
檎
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プリ小説の方でも同じ檎(ごん)って名前で活動しています。夢小説じゃなく、もっと本格的な小説に興味があって始めました!
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