硝子灯(がらすび)館の少年

硝子灯(がらすび)館の少年
夕暮れどき、坂道の上にぽつりと光る硝子灯館は、まるで煤けた空の裏側に浮いた星屑のようだった。 玄関脇のランプは白磁のように薄く、触れればたちまち罅が走ってしまいそうな気配を帯びている。そこへ、僕は招かれた。 館の主人は、“七曜博士”と名乗る、年齢の読めない男だった。 黒曜石のように光る瞳は、笑っているのか、僕をなめるように眺めているのか判然としない。 「君は、不思議が好きかい?」 博士のその問いは、夕闇よりも先に僕の心を覆った。 硝子灯館の内部は、外観以上に奇妙だった。
さやかオンザライス
さやかオンザライス
文学が好きです。浮かんだ物語をアウトプットしに来ました。荒削りですがよろしくお願いいたします👳🏻‍♂️