〈白猫のトア〉『1』

〈白猫のトア〉『1』
朝、雀の囀りを聞きながら私は目を覚ます。 窓の方を少し見てみると、雀が五羽程電線の上でチュンチュンと鳴いていた。今日も平和な朝だな、と思いながら二度寝をしようとした…その時。 『御主人様、起きて下さいッ』 そう言って布団を引っ剥がされそうになった私は、全力で布団を鷲掴みにして剥がさせないようにした。 『もう御主人様、往生際が悪いですね、好い加減起きて下さい』 ペチペチと頬を叩かれる。 私が目を覚ますとそこには、飼い猫のトア…に似た人が居た。 白い髪に白い肌。 そして黄色と水色のオッドアイを持つその人はまさに私が飼っている猫にそっくりだった。 「まだ夢なのね…」
緑葉
緑葉
短編小説を書いています!