音に触れた日

音に触れた日
夜のあいだだけ開く、小さな音の庭があった。 風よりも静かで、灯りよりもやわらかい。 そんな入口を押すと、ひとつのピアノが ぽつんと月明かりのそばに座っている。 鍵盤に指をそっと置くと、 白は朝露のつめたさで、黒は夜の深さを抱いていた。 どちらも言葉を持たず、 ただ触れられるのを待っている。
涼風葵
涼風葵
蒼色文学創作者☁️❄️ コメントがくると喜びます💬♥ 2024.9.23〜