ミステイク(第1章-4)

4 「早かったな」  昨日見たばかりの顔が、人を食ったような笑みを浮かべていた。テーブルから上に出ている上半身には、カジュアル過ぎないジャケットを纏っていて、一見するとベンチャー企業の人間のようだった。 「どういったご用件で」  隣のブースに人の気配のないことを確認してから、座るより先に芹馨は訊く。 「まぁ、座れよ」  独特のペースで美嶋が促した。  渋々といった体で、芹馨は向かいに腰を落ち着ける。 「んな迷惑そうにしなくても、言うって」
光沢 季環
光沢 季環
カクヨム→kindleに移行し、現代ドラマ系の小説を出版中です。 Noveleeさんでは、恋愛系の長編を投稿したいと思っています。宜しくお願い致します。 twitter→@mitsu_kiwa