黄昏よりの使者
焦りと怒りが交錯する。消耗し切った体を空の赤が痛切に温める。塔の周りはおおよそ10メートルはあろうかというほど高い塀で囲まれている。その時ほど無力な自分を思い知らされた時はなかっただろう。冷たい石塀が背中から、火照った自分の酔いを覚ましてくれるようだった。疲弊し切った脳は思考を停止し、全てがどうでもいいと思えてしまうのだった。夢にまで見た自由がすぐそこで奪われてしまうことは、こんなにも辛くて痛いものなのかと、妄想世界で思索に耽っていた。しばらくして目を開けると、目の前には見知らぬ人がいた。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2022/7/11 5:10
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
大海の柴犬