惰性以上、情熱以下 ⑪

惰性以上、情熱以下 ⑪
 人懐こい性格だから誰とでも仲良くなれるのが特技だと言われて育った。それによって生まれる柵(しがらみ)が面倒臭いと思うような捻くれた性格だと気付いたのは中学生の時。そう気付きながら独りぼっちは耐えられないから、面白くなくても面白いと言って、興味がなくても興味があるフリをして周りに合わせてきた。世の中、そうやって生きていくもんだと悟った高校2年の夏、 無理をし過ぎた私の心が爆発して体調を崩しても、友達どころか親にすら理解してもらえなかった。それでも何とか迎えた高校の卒業式、写真を撮ろうと言う同級生達に『ちょっとトイレ行ってくる』と言って、そのまま帰った。 友達の事が嫌いだった訳じゃない。 自分でも訳が分からないほど限界だった。  美容師の道に進んだのも、両親が理容師だったからという安易な理由と、裏と表の顔の使い分けを仕事と私生活として割り切れる仕事なら、自分が楽だと思ったから。 そういう拗らせている私の性格に気付いてくれたのがジュリだった。ジュリは、『それ、いつか絶対バレるし、体壊すよ』とハッキリと私に言ってくれて、それ以来、私は自分を取り繕うのをやめた。だから、取り繕わない自分と友達になってくれた専学の友人達は、男女問わず私にとって凄く大切な友達だった。  「二週間も前に言ったじゃん!」
DORRY
DORRY
思いつきのストーリーを書いています。記録用でもあります。 恋愛、BL、家族、友情、テーマはいろいろです。