最後の角川春樹、読後コメント

信用している読み友氏のコメントを読んで購入、面白くって一気加勢(年取って、仕事もあり速いとは行かないけど)で読了。刑務所生活の経験者、新興宗教?紛いの言動とか兎角、盛名と共に毀誉褒貶が激しい人物で「強いけど怖い」って「文化人」らしからぬイメージを持っていた。 中身は仕事、功績だけでは無く、人物像も現れて来る描写、構成は見事。随所に引用される俳句も効果的だし、「印象が鮮やかで、好き」(上手いと小生が言うわけにはいかないでしょ)全編聞き書きって形式を取っているのだが、合間に伊藤が入れる合いの手?が絶妙で読者に対する要約になっていて、角川に対する下調べの広さ、深さになっている。勉強の賜物とは言え、こんなに鮮やかな対談はちょっと類を見ない(小生の貧弱な読書体験にせよ)出来。角川春樹も嬉しかったのではないか。つまり信頼関係が窺えると言うこと。 角川春樹が角川書店・文庫を率いて流行の先端にいた頃の70年台(ざっくりした印象ね)は小生の学生時代はガッツリとリンクしていて、「俺たちは角川春樹の影響下で大人になった」と言っても良いくらい。多分この人に足を向けて寝られない人が山程いるのではないか。巷間言われるメディアミックスの実践が後のサブカルに及ぼした影響は計り知れない。まぁこの歳になって振り返って分かったことなのだが、刺激的な読書体験だった。若い人には簡単に勧められないが、「オジサン」には大威張りで勧められる。書きたいことは多いが、キリがない。読後コメントはこのくらいにしよう。
ヨーイチ