09 志摩長の不覚ノ巻

09 志摩長の不覚ノ巻  夜分に島長である志摩長は研究室で回収した猿の遺体と、その持ち物を調べていた。 遺体は調べると普通の猿、喋ると聞いていたが声帯を調べると、やはり普通の猿の声帯だった、いわゆる人間の声を発するには不可能な構造だった。 そして遺品は三点、王冠、マント、サーベル、それらを調べてみると、全て質が良く一般的な物であったが、サベールにだけ何か異様な物を感じ、同時に島民である一馬から聞いた猿の言葉を思い出す。 『仇は女王様が取ってくれる』 女王と聞いて半島の森羅が思い当たり、帝国の外交ルートを通じ問い合わせるも、森羅の返答は『そんな猿は知らない、使った覚えも無い』それだけだった。 島長はその返答はまず間違い無いと見た、その根拠は猿の持っていたサーベルである、それは秘に仕入れた森羅の武器リストに載っていたなかったからである、ならば新型と考えてみるも志摩長は首を跳ねる、それをなんの責任も持たない猿にまず貸す事などはありえない事だからである。  それから数日後に猿は水葬し、さらに数日後の夜も志摩長は研究室の自室に閉じ籠り、その謎を踏まえ、今迄の出来事を考えていた。
仙 岳美
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