第二話 あなたの役職は
執事が居なくなってから、死んだ男の血溜まりは徐々に広がっていった。俺の足元へ流れてきた血を見て、反射的に足をどかしてしまった。
「政くん……」
久我さんが俺の手を強く握り直したが、その手はとても冷たい。
「久我さん、とりあえず部屋に行こう。この部屋にいると、その、ね?」
例の死体から視線を逸らして声を発したが、その声はとても上ずって震えていた。目前で人が1人殺されたのだ。今日は眠れる気がしない。
「坊主の言う通りだ。お前ら、この部屋からとっとと出るぞ」
さっきまで煙草を吸っていた男が火を消して立ち上がる。その瞬間凍てついた空気が解けたかのように全員が動き出した。
「お姉ちゃん、怖い」
くまのぬいぐるみを抱いた男の子が久我さんに抱きついた。それを見た久我さんが俺の手を離して男の子を抱き上げる。
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カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2023/11/16 22:59
最終編集日時: 2023/11/20 5:51
維千 / ichi
お時間のある時に貴方を1000字の世界へ。
ご高覧いただきありがとうございます。
【人狼ゲーム】11月14日より連載中