サナギから旅立つ日

サナギから旅立つ日
「忘れ物ない?全部持った?持ったならさっさと行け!」 「うるさいなぁ、言われなくてもすぐ出てくってば。」 姉のハンナが無愛想に送り出し、かとおもえば、今度は心配性の母が騒ぎ出す。 「本当に大丈夫なの?アンタ危なっかしいから、すぐにでも怪我するんじゃないかって、お母さん心配で心配で。」 「大丈夫だって。忘れ物もないし、あの日から、ペトロさんが居なくなってから、毎日鍛錬を積んだんだ。もう、村では誰にも負けない。」 あれから十年程が経ち、もう立派な青年となったプシュケは、旅立ちの日を迎える。 ペトロに勇気付けられてから、約束の通りロシナンテになるための鍛錬を積んだプシュケは、村では負け無しで、冒険者となったとしても十二分に通じるであろう実力を持っていた。 「違うわよ。いや、違わないんだけどね。その、転けたりする方の怪我。アンタ、鈍臭いからさ。」 「あ、そっち? それなら大丈夫。鍛錬で体幹ついたし、注意もしてるから。」 「ならいいのだけど。ていうかペトロって誰よ?お母さん知らないわよ。」
あいびぃ
あいびぃ
初めまして、あいびぃです! 見つけてくれてありがとう♪ 私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。 詳しいことは「自己紹介」にて! まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします!