総務ヶ原の戦い
誰もいない、定時後数時間経ったオフィスの中で、俺は同期である鈴木と共に残業に励んでいた。
彼とは向かいの席なので、嫌でもお互いの疲れた顔が見える。せめて、鈴木が可愛い女の子だったら、と何度思ったことか。
時は二十二時過ぎ。昨日も一昨日も残業、しかも昨日は終電を逃して会社に泊まり。睡眠不足の俺たちの疲れはピークに達していた。
「田中ぁぁぁぁぁぁ、終わりそうかぁぁ」
もうすでにおかしくなりかけている鈴木は、裏声を使い甲高いオペラ調で俺に話しかけてきた。
「終わんねーよ」
「ああん、田中冷たい」
そう言って体をくねらせる鈴木のなんと腹立たしいことか。俺は彼を無視して、再び白い無機質な画面を睨んだ。
エナジードリンクを一気飲みし、なんとかパソコンを打ち続ける。卓上には、空のエナジードリンク缶が四本。どう考えても飲み過ぎだ。
鈴木の机には、俺の机と同様に缶コーヒーの空き缶が群れをなしていた。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2021/10/14 10:05
最終編集日時: 2021/10/14 10:06
サーモンハンバーグ
小説やらを書散らす、自称小娘です。
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