色盲

色盲
私、西崎静は、色がわからない。 夜中に開けた、冷蔵庫。その光と、アルミ缶の重みだけが、視界のすべてだった。夜はいい、冷えるものがある。ぺたり、足の裏を合わせて、月を眺めた。ベランダへ、煙草吹かしてみれば、先は燃えている。それが、なんの情緒を示しているか。 世界とは、こうも残酷だ。 昔、絵を描いた。それは、好きなことの一つで、丸く丸く、ひたすらに丸を描きながら、渦巻いていた。ただ、その渦たちは、けして人好きするようなものではなかった。画材が、こちらを恨めしく見つめながら、告げた。私は、ひそかに、油を足す。そうして、べっとりと手のひらに、絵の具。項垂れて、過ちを認めなければならなかった。誰に言われた訳でもない、紛れもなく画材が、それを代わりに言った。 ネオンは、まだいい。
西崎 静
西崎 静
コツコツ書いていきたいと思っております。よろしくお願いします!成済