奇跡

奇跡
 目の前にこんな奇跡が転がっているというのに、貴方たちは何をしているのですか?  そんなにサイケデリックな灯りが楽しいのでしょうか。  おそらくこの車両の中で、この奇跡に気が付いているのは私だけでしょう。  両隣りはやはり、手のひらの上の四角い液晶を具に見つめております。  ああ、なんて勿体無いのでしょう。  目の前の席の3人が、揃って同じモデルの靴の、同じカラーを履いているというのに。  しかも、3人それぞれ赤の他人なのです。  どうしてそんなことがわかるのかと言いますと、私は見ていたのです。  2人目が座り、リーチになった瞬間を。  そして、3人揃ってビンゴになった瞬間を。
末子 鷹蹴
末子 鷹蹴
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