知らない夕焼け

知らない夕焼け
 電車に乗って随分遠くまで来た。荷物は重かったけれど、僕も彼もそんなことなんて少しも気にはならなかった。  知らない駅で降りて、山を登る。出発した頃は登ってきたばかりだった太陽も、気づけば今日の役目を終えようとしていた。  オレンジ色に照らされている道を二人で黙々と登り続けていたけれど、ふと彼が足を止めて背後の空を見上げた。それに釣られて僕も足を止める。そこには燃えるような赤い夕焼けがあった。 「綺麗だね……」 「うん。……あっという間だったね」 「あと少しで着くかな」  どうだろう、と言って彼は荷物を背負い直して歩き出す。僕も後を追う。太陽の反対側で一番星が瞬いた。
綴木 継人
綴木 継人
気ままに書いたりしてます。