花火
「なんで線香花火ばっかり素敵って言われるんだろう。」
文化祭の打ち上げで溜息混じりの声がでた。親近感が湧いた普通の花火に火をつける。
自分の気が強いことはわかっているし、それを嫌だともダメだとも思わない。自分の意見をしっかり言えるのは良い事だと思う。
それなのに、世の男とは「儚い」ものが好きだ。女性に対しても同じ。白くて細くて、ちょっと自分に自信がなさげで自分についてきてくれそうな、小動物的な、線香花火てきな、ふっとしたことで消えちゃいそうな女が好きだという。
私は今手にしている力強く光と輝きを放ち、全力で生きたあと消えていくこの花火の方が好きだ。男とかとは関係なしに、自分の命を全力で燃やしていこう。
「それ」
と急に声がして肩がビクッと上がった。
その方向を見ると隣のクラスの男子が居た。
見た目は地味だけど、メガネから覗くその目はどこか凛としていた。
「ススキっていうんだよ」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2021/8/29 11:16
yai
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