花火

花火
 「なんで線香花火ばっかり素敵って言われるんだろう。」 文化祭の打ち上げで溜息混じりの声がでた。親近感が湧いた普通の花火に火をつける。 自分の気が強いことはわかっているし、それを嫌だともダメだとも思わない。自分の意見をしっかり言えるのは良い事だと思う。 それなのに、世の男とは「儚い」ものが好きだ。女性に対しても同じ。白くて細くて、ちょっと自分に自信がなさげで自分についてきてくれそうな、小動物的な、線香花火てきな、ふっとしたことで消えちゃいそうな女が好きだという。 私は今手にしている力強く光と輝きを放ち、全力で生きたあと消えていくこの花火の方が好きだ。男とかとは関係なしに、自分の命を全力で燃やしていこう。 「それ」 と急に声がして肩がビクッと上がった。 その方向を見ると隣のクラスの男子が居た。 見た目は地味だけど、メガネから覗くその目はどこか凛としていた。 「ススキっていうんだよ」
yai
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基本的にTwitterにいます @140Yai