140文字小説+α その139 「オープンカー」

 南国のリゾートをオープンカーで走り抜ける。  爽快で晴れやかな気分だ。  そろそろ海岸沿いの道に出る。さらに気持ちがいいだろう。  その時。バチン、と音がした。  フロントガラスに蝉が直撃した。  ちょっと見てられない景色が、目の前に広がった。  路肩に車を停めて、状況を確認する。  ……けっこうグロテスクだな。いや、そんなこと言っている場合ではない。  何か拭くもので、この惨劇の被害者を弔ってあげないといけない。しかしながら、今手元にある拭けそうなのものは、ハンカチかテッシュのみだ。
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。