『モンスターしかいない森で、パン屋を始めました』

森の朝は、白い息から始まる。 まだ日が昇りきらないうちに、ユウは小さな石窯に火を入れた。乾いた薪がぱちりと鳴り、火はゆっくりと息をするみたいに広がっていく。粉を量り、水を注ぎ、塩をひとつまみ。指先で混ぜると、生地はやわらかくまとまって、掌の温度を覚えていく。 「今日は少し、水を多めにしようかな」 独り言は、森に吸い込まれていく。ここには、人間の客はいない。けれど、焼き立ての匂いは、ちゃんと届く。 ぷるん、と音を立てて、入口の影から青い塊が跳ねた。
獅勇
獅勇
はじめまして だいぶ下手ですが良い作品を書けるように頑張ります!