迷いの森-2

迷いの森-2
入ると御伽噺の様に現実離れした内装に驚倒する。綺麗に並べられた可愛らしい靴が、あちこちに飾られた小さな灯りが、全てがきらきらと輝いていた。 横目で彼女を見ると、整った顔が台無しとも言えるほど不機嫌そうにしている。気不味い雰囲気に何か問いかけようとするが、彼女は無造作に靴を脱いでいった。気が立っているのだろうか。今は話しかけない方が良いと、頭の中でアラームが鳴り響いていた。 それにしても靴の数が多いな。女性とは皆、靴を多く所持していたいのだろうか。 考え事に夢中になっていると、いつの間にか彼女の姿が消えていた。 どこに行ったんだろう。気が咎めるが僕は近くの部屋を覗き込んでみた。 その部屋は丸い机と座布団だけが、ぽつんと置かれていた。床や壁の所々が少し汚れていて、なんだか入るのに勇気が要る部屋だった。 だが、いざ座布団に座ってみると予想外にふかふかで座り心地は一級品だった。その余韻に浸っていると、更に奥の部屋から先程の少女が二人分の紅茶を運んできた。
風蓮華
風蓮華
アルファポリス、なろう、pixiv等でも書いてます。 うちの子大好きマンです、気をつけて下さい、喋らせるとうるさいです。